マドグチ

更新日: 2026-09-17

カスハラ防止方針の書き方とテンプレート例(2026年10月義務化)

2026年(令和8年)10月1日から、改正労働施策総合推進法により、カスタマーハラスメント(カスハラ)への防止措置が全事業主の義務になります。労働者を1人でも雇用していれば、企業の規模や業種を問わず対象で、中小企業向けの猶予期間は設けられていません([厚生労働省 Webマガジン「従業員を守るために ― カスタマーハラスメント対策の新ルール」](https://www.mhlw.go.jp/web_magazine/series/20260820.html))。

この記事では、義務化に対応するために最初に作ることになる「カスハラ防止方針」に、何をどう書けばよいかを、実務でそのまま使える文例つきで整理します。

そもそも「カスハラ」とは

厚生労働省は、職場におけるカスタマーハラスメントを、次の3つの要素をすべて満たすものと定義しています([あかるい職場応援団「カスタマーハラスメントとは」](https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/foundation/harassment_list/customer-hara/))。

  1. 顧客、取引の相手方、施設の利用者など、事業に関係を有する者による言動であること
  2. その言動が、社会通念上許容される範囲を超えていること
  3. その結果、労働者の就業環境が害されるものであること

要求の中身が契約内容から見て過大なもの、暴行・脅迫・侮辱にあたるもの、長時間の拘束や執拗な繰り返しなどが、範囲を超えた言動の典型例とされています。

方針に書くべき5つの要素

厚生労働省の指針は、事業主が講じるべき措置として、大きく次の柱を示しています。方針文書には、この柱に沿って会社の姿勢を明文化します。

  1. 会社としての基本姿勢:カスハラには毅然とした態度で対応し、従業員を保護する方針であることを明記する。
  2. 相談窓口の設置と周知:相談を受け付ける窓口をあらかじめ定め、担当者が対応できる体制を整える。
  3. 相談後の対応手順:相談を受けたら速やかに事実確認を行い、被害を受けた従業員への配慮と再発防止の措置を講じる。
  4. 悪質なケースへの対応方針:特に悪質な言動には、対応の打ち切りや警察・弁護士への相談も選択肢であることを、あらかじめ社内で共有しておく。
  5. プライバシー保護と不利益取扱いの禁止:相談した従業員の情報を守り、相談したことを理由に不利益な扱いをしないことを明記する。

文例(そのまま使える短文)

方針文書に入れる基本姿勢の一文は、たとえば次のように書けます。

当社は、顧客等からの言動であっても、社会通念上許容される範囲を超えるものについては、従業員を守るため毅然とした態度で対応します。相談窓口は◯◯(部署・担当)とし、相談した従業員が不利益な扱いを受けることはありません。

この文例はあくまで雛形であり、業種や現場の実情に合わせて言い換える必要があります。方針は作って終わりではなく、社内掲示・朝礼・入社時の説明などで実際に従業員へ周知して初めて意味を持ちます。

方針を作った後にやること

方針文書は、作成しただけでは義務を果たしたことになりません。厚生労働省の指針は「周知・啓発」を独立した措置として求めており、次のような形で実際に従業員へ届ける必要があります。

  • 休憩室や更衣室など、従業員が日常的に目にする場所への掲示
  • 入社時のオリエンテーションや、定期的な朝礼・研修での説明
  • 就業規則や社内マニュアルへの記載、社内ポータルへの掲載

また、方針の「相談後の対応手順」は、誰が・何を・どの順番で行うかまで具体化しておくと、実際に相談があったときに迷いません。たとえば「相談を受けた担当者は当日中に上長へ報告し、原則3営業日以内に事実確認を行う」のように、期限や役割を数字で決めておくと運用しやすくなります。

中小企業が迷いやすい点

「相談窓口といっても専任者を置けない」という声をよく聞きますが、指針は専任者の配置までは求めていません。総務担当者などが兼任し、実際に相談が来たときに対応できる体制であれば足ります。重要なのは、窓口の存在を従業員が知っていることと、相談後の対応手順が決まっていることです。

複数の事業所を持つ会社では、方針そのものは本社で一本化しつつ、相談の一次受付だけを各事業所の店長・所長に任せる形も現実的です。その場合も、最終的にどこへ報告が集約されるかを方針に明記しておくと、対応の抜け漏れを防げます。

本記事は2026-09-17時点の公表情報にもとづいて作成しています。本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言ではありません。個別の事案については社会保険労務士・弁護士等の専門家にご確認ください。


マドグチは、この方針文書に加えて、公表ページ・店頭掲示物・相談受付フォーム・対応記録の台帳までを、無料プランからまとめて作成できるツールです。[マドグチで5点セットを無料で作ってみる](/pricing)