マドグチ

更新日: 2026-09-18

カスハラ対応マニュアルに書くこと、そのまま使える例文つき

方針を掲示するだけでは、実際に迷惑行為が起きたときに従業員が動けません。厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」は、方針の明確化に続く措置として、現場対応・内部への報告・記録という3段階の手順をマニュアル化することを求めています([厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)」](https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000915233.pdf))。この記事では、その3段階それぞれに何を書けばよいかを、例文つきで整理します。

1. 現場対応:対応時間の目安を先に決めておく

現場の従業員が最も迷うのは「いつまで対応を続けるべきか」という判断です。マニュアルは、電話や対面での対応にあらかじめ目安の時間を設け、それを超えたら次の対応に移ることを勧めています。

お引き取りを願ってもなお30分程度(膠着状態に至ってから計1時間程度)顧客等が帰らない場合には、毅然とした態度で退去を求める。状況に応じて、弁護士への相談や警察への通報等を検討する。

(前掲マニュアルより。時間はあくまで一例で、業種・業態に応じて自社で決めるべきものとされています)

マニュアルの例文

対応時間の目安は、電話は1回15分、対面は30分とします。目安を超えても要求が続く場合は、上長に取り次ぎ、以後の対応は上長の指示に従ってください。身の危険を感じた場合は、目安の時間にかかわらず、ただちに警察または警備員に連絡してください。

2. 内部への報告:誰に、何を報告するか

現場だけで解決できないケース(訴訟をちらつかせる、警察・自治体との連携が必要など)に備え、本社・本部への報告ルートをあらかじめ決めておきます。共有すべき情報として、マニュアルは次の項目を挙げています。

  • 対応日時、場所
  • 対応した従業員
  • 顧客等からの要望の内容
  • 顧客等の情報
  • 現場監督者の指示
  • 対応結果

マニュアルの例文

次のいずれかに該当する場合は、対応中でも上長に報告してください。①損害賠償を要求された、②反社会的勢力を名乗られた、③刑法犯(脅迫・強要等)に該当しうる言動があった。報告時は、いつ・どこで・誰が・何を要求されたか・現在の状況、を簡潔に伝えてください。

3. 記録:時系列で残す

対応を引き継ぐ担当者がスムーズに動けるよう、いつ・どこで・誰が・どう対応し、結果はどうなったかを時系列で記録しておくことが推奨されています。記録は、後日の事実確認や、悪質なケースで弁護士・警察に相談する際の裏付けにもなります。

対応前に「そもそもカスハラか」を線引きしておく

マニュアルに例文を用意する前提として、対象になる言動の範囲を担当者間で揃えておく必要があります。厚生労働省は、顧客等からの言動のうち、社会通念上許容される範囲を超え、労働者の就業環境を害するものをカスタマーハラスメントと定義しており、正当な意見・改善要望はこれに含まれません([あかるい職場応援団「カスタマーハラスメントとは」](https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/foundation/harassment_list/customer-hara/))。マニュアルの冒頭に、この線引きと該当・非該当の具体例を数行入れておくと、現場の従業員が自己判断で線引きを誤るリスクを減らせます。

中小企業向けの簡略版

比較的規模の小さい企業では、対策の推進と相談窓口対応を経営者等が兼ねる運用も想定されています。その場合、上記の「内部への報告」段階は「現場の従業員→経営者」の1段階に簡略化してかまいません。段階を減らしても、対応時間の目安・報告基準・記録項目の3点は省略しないことが、後から振り返る際の助けになります。

マニュアルは方針・掲示物とセットで運用する

対応マニュアルだけを整備しても、方針や店頭掲示で会社の姿勢を先に示していなければ、現場が「毅然と対応してよい」と確信を持てません。マニュアルは、方針の明確化・周知という措置の実行手段の一つと位置づけ、方針文書・店頭掲示物とあわせて整備・改定していくのが実務的な進め方です。

本記事は2026-09-18時点の公表情報にもとづいて作成しています。本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言ではありません。個別の事案については社会保険労務士・弁護士等の専門家にご確認ください。


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