更新日: 2026-09-18
パワハラ相談窓口の外部委託、費用より先に確認すること
パワーハラスメントの相談窓口は、社内の担当者が受ける方法のほかに、弁護士事務所・社会保険労務士・民間の相談窓口サービスなど、社外に委託する方法もあります([あかるい職場応援団「人事担当の方」](https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/jinji/))。外部委託を検討するとき、比較の起点になりやすいのが月額費用ですが、費用の前に確認しておくべき観点が3つあります。
委託しても、事業主の義務はなくならない
まず押さえておきたいのは、相談の受付を外部に委託しても、事業主が負う体制整備義務そのものが外部に移るわけではないという点です。事実確認、被害を受けた労働者への配慮、行為者への対応、再発防止といった一連の対応は、最終的に自社が主体となって進める必要があります([厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)」](https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000915233.pdf)。同マニュアルは外部機関(弁護士等)と連携できる体制の構築を勧めていますが、これは自社の対応体制を補完するものという位置づけです)。
外部窓口は「一次受付」までを担い、その先の事実確認・処分の判断・再発防止策の実施は自社の役割として残る、という前提で比較すると、料金表だけでは見えない役割分担の違いに気づきやすくなります。
費用より先に見る3つの観点
1. 対応の範囲
一次受付(相談を聞き取るだけ)までなのか、事実確認への助言や行為者へのヒアリング支援まで含むのかで、社内側に残る作業量が大きく変わります。
2. 記録の扱い
相談内容の記録を誰が・どの形式で・どれくらいの期間保存するのか。自社に共有される記録が要約なのか全文なのかも、後で事実確認を行う際に影響します。
3. 対応言語・対応時間帯
外国人労働者や、シフト制で夜間・早朝に働く従業員がいる場合、対応可能な言語と時間帯が実態に合っているかを確認します。
料金体系の見分け方
外部窓口の料金は、大きく「月額固定+相談件数の上限あり」「相談1件ごとの従量課金」の2パターンに分かれます。相談件数が少ない小規模な会社では月額固定が割高になりやすく、逆に相談が集中する時期がある会社では従量課金だと予算が立てにくくなります。契約前に、自社の過去のハラスメント相談件数(無ければ、同規模の一般的な相談発生率)を目安に、どちらの体系が合うかを試算しておくと判断しやすくなります。
社内窓口との併用も選択肢
外部窓口だけに一本化せず、社内の窓口(総務担当者など)と外部窓口を併設し、相談者が話しやすい方を選べるようにする運用も一般的です。特に、相談相手が社内の人間だと話しにくい内容(経営者自身が関係する相談など)は、外部窓口があることで拾いやすくなります。
契約前に確認しておきたいこと
見積もりを取る段階で、次の点をあわせて確認しておくと、契約後の想定違いを防げます。
- 解約・件数超過時の扱い:想定より相談件数が増えた月に、追加費用がどう発生するか。
- 報告書の粒度:会社側に共有される報告が、相談の要旨だけなのか、対応履歴を含むのかで、自社での事実確認の負担が変わります。
- 契約期間の縛り:最低契約期間が1年単位など長期になっていないか。
小規模な会社ほど「まず社内窓口」から
従業員数が少ない会社では、相談件数自体もそれほど多くないことが一般的です。まずは経営者や総務担当者が受ける社内窓口を無料または低コストで整備し、相談が増えてきた段階、あるいは経営者自身が関係する相談が想定される段階で、外部委託を検討するという順番でも、義務そのものは満たせます。外部委託は「最初にやること」ではなく、「社内窓口だけでは足りなくなったときの選択肢」として位置づけると、費用対効果を判断しやすくなります。
まとめ
外部委託の検討は、料金表の比較から入るのではなく、対応の範囲・記録の扱い・対応言語や時間帯という3つの観点から自社に必要な機能を洗い出すところから始めると、費用の妥当性も判断しやすくなります。社内窓口を先に整え、必要に応じて外部委託を足していく順番であれば、初期費用を抑えながら義務も満たせます。
本記事は2026-09-18時点の公表情報にもとづいて作成しています。本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言ではありません。個別の事案については社会保険労務士・弁護士等の専門家にご確認ください。
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