マドグチ

更新日: 2026-09-18

ハラスメント相談の記録、様式に何を書けばよいか

相談を受けた担当者が記憶だけで対応すると、事実確認の段階で「言った・言わない」の食い違いが起きやすくなります。厚生労働省の資料は、相談を受けたら聞き取った内容を記録し、相談者に確認することを勧めています([あかるい職場応援団「人事担当の方」](https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/jinji/))。この記事では、様式に入れるべき項目を整理します。

聴取すべき6項目

あかるい職場応援団は、相談担当者が聞き取るべき項目として次の6つを挙げています。

  1. 行為者との関係性
  2. 具体的な行為の内容と時期
  3. 他に被害を受けた人がいないか
  4. 他に相談した先がないか
  5. 現在の状況
  6. 希望する解決方法

担当者は必ず、聞き取った内容を記録にもとづいて相談者本人に確認することが求められています。記憶で済ませず、その場で記録し、読み合わせるところまでを1セットにすると、後日の認識のずれを防げます。

カスタマーハラスメントの記録はもう少し実務的

顧客等とのやり取りが対象になるカスタマーハラスメントの場合は、上記に加えて、対応の経過を時系列で追える項目が必要になります。厚生労働省のマニュアルは、本社・本部への引き継ぎ時に共有すべき項目として次を挙げています([厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)」](https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000915233.pdf))。

  • 対応日時、場所
  • 対応した従業員
  • 顧客等からの要望の内容
  • 顧客等の情報(分かる範囲で)
  • 現場監督者の指示
  • 対応結果

社内の人間関係が対象のハラスメントは「聴取した内容の確認」、顧客等が絡むカスタマーハラスメントは「時系列での経過記録」に重心があると考えると、様式を分けて設計しやすくなります。

プライバシー保護は記録の扱い方にも及ぶ

指針は、相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、その旨を労働者に周知することを求めています。ここでいうプライバシーには、性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報も含まれます。記録を保管する場所と、閲覧できる担当者の範囲をあらかじめ決めておくことも、この措置の一部です。

様式に最低限入れる項目(まとめ)

  • 受付日時、受付方法(面談・電話・メール等)
  • 相談者・行為者の関係性
  • 具体的な行為の内容と時期
  • 他の被害者・相談歴の有無
  • 相談者の希望する解決方法
  • 対応の経過(誰が・いつ・何をしたか)
  • 対応結果

保存期間について、指針そのものに明確な年数の定めはありません。就業規則の懲戒事由の時効や、万一の紛争に備える観点から、社内で保存期間を決めて明文化しておくことをおすすめします。

いつ記録を書くか

記録は面談の直後、記憶が鮮明なうちに書くのが基本です。時間が経ってから思い出しながら書くと、細部があいまいになったり、担当者自身の解釈が混ざり込みやすくなります。面談中にメモを取り、面談終了後30分以内など、社内でタイミングの目安を決めておくと運用が安定します。

紙の様式とデジタルの様式、どちらがよいか

紙のフォーマットは、面談の場で相談者の目の前で書き込みながら確認できる利点があります。一方で、担当者が複数いる会社や、相談後の経過(対応中・完了)を後から追いたい会社では、記録をデータで残し、状態を更新できる仕組みのほうが引き継ぎに向いています。どちらの形式でも、上記の項目が漏れなく入っていることが優先で、様式そのものの見栄えを整えることに時間をかける必要はありません。

記録を書く担当者への注意点

記録は、後から第三者(他の担当者や、必要な場合は弁護士・社会保険労務士)が読んでも状況が伝わるように、憶測ではなく相談者本人が話した内容と、担当者が確認した事実とを区別して書くことが大切です。「〜と感じた」という担当者の推測と、「〜と言われた」という相談者の発言を、同じ文の中で混在させないようにするだけでも、後日の事実確認がしやすくなります。

まとめ

記録の様式は、社内向けのハラスメントなら聴取項目の確認、カスタマーハラスメントなら時系列の経過記録に重心を置いて設計し、プライバシー保護のための保存・閲覧範囲もあわせて決めておくことが基本になります。様式を先に固めておけば、実際に相談があったときに担当者が迷わず記録を残せます。

本記事は2026-09-18時点の公表情報にもとづいて作成しています。本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言ではありません。個別の事案については社会保険労務士・弁護士等の専門家にご確認ください。


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