マドグチ

更新日: 2026-09-18

カスハラ・ハラスメントの就業規則への記載例(モデル就業規則にもとづく)

パワーハラスメント・セクシュアルハラスメント等について、行為を行った者を厳正に対処する旨の方針を就業規則等の文書に規定し、管理監督者を含む労働者に周知する必要があります。表彰・制裁の内容を定める場合、就業規則には必ず記載しなければならないとされています([厚生労働省「モデル就業規則」(令和5年7月版)](https://jsite.mhlw.go.jp/fukui-roudoukyoku/content/contents/001661851.pdf))。

モデル就業規則の条文(社内のハラスメント向け)

厚生労働省のモデル就業規則は、服務規律の章に次の条文を置いています。

(職場のパワーハラスメントの禁止)
第12条 職務上の地位や人間関係などの職場内の優越的な関係を背景とした、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により、他の労働者の就業環境を害するようなことをしてはならない。

(セクシュアルハラスメントの禁止)
第13条 性的言動により、他の労働者に不利益や不快感を与えたり、就業環境を害するようなことをしてはならない。

(その他あらゆるハラスメントの禁止)
第15条 第12条から前条までに規定するもののほか、性的指向・性自認に関する言動によるものなど職場におけるあらゆるハラスメントにより、他の労働者の就業環境を害するようなことをしてはならない。

(前掲モデル就業規則より抜粋)

懲戒の種類(けん責・減給・出勤停止等)を定めた条文と組み合わせ、「これらの規定に違反した場合は、懲戒の規定に基づき処分することがある」旨をあわせて記載するのが一般的な構成です。

カスタマーハラスメントは「懲戒」の書き方が異なる

上記の条文は、いずれも自社の労働者同士の関係を前提にしています。カスタマーハラスメントは行為者が顧客等であり雇用関係がないため、同じ発想で懲戒条文を書くことができません。厚生労働省のマニュアルも、この違いを次のように説明しています。

会社と顧客等との間に雇用関係がないため、企業内でのハラスメントのように懲戒等の直接的な措置は取ることができず、必要に応じて警察への通報や法的な手続きなどを行うことになります。

([厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)」](https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000915233.pdf))

そのため、カスタマーハラスメントについて就業規則に書くべきは「顧客への懲戒」ではなく、次の2点になります。

  1. 従業員を保護する会社の姿勢:カスハラに対しては組織として毅然と対応し、対応を打ち切る・退去を求める等の措置を取りうること。
  2. 自社の従業員が加害者側になった場合の扱い:取引先など他社の従業員に対して自社の従業員がハラスメントを行った場合は、通常の服務規律・懲戒の条文(モデル就業規則第12条〜第15条、第67条)を適用する旨。

記載例(カスタマーハラスメント条項)

(カスタマーハラスメントへの対応)
第◯条 会社は、顧客等からの言動であっても、社会通念上許容される範囲を超えるものについては、従業員の就業環境を守るため、対応の打ち切りその他必要な措置を講ずる。
2 労働者は、業務の遂行にあたり、取引先その他の関係者に対し、優越的な関係を背景とした言動その他の就業環境を害する言動を行ってはならない。これに違反した場合は、第◯条(懲戒の種類)の定めるところにより懲戒を行うことがある。

条文番号は、自社の就業規則の既存の条立てに合わせて振り直してください。

求職者等セクハラの規定も忘れずに

2026年10月からは、採用選考中の求職者等に対するセクシュアルハラスメントも防止措置の対象になります。就業規則は在職中の労働者を対象とする文書のため、求職者等への対応方針は、就業規則そのものよりも、採用選考に関する社内規程や、募集要項に添える形での明文化がなじみます。窓口の連絡先を、求職者等が見る募集要項や会社説明会の案内に明記しておくことも、周知の一部として求められています。

改定した規定の周知も忘れない

就業規則に規定を追加・改定しても、労働者に周知しなければ効力が生じません。常時10人以上を使用する事業場では就業規則の届出・周知義務があり、事業場の見やすい場所への掲示、書面の交付、社内システムでの閲覧など、労働者が実際に確認できる方法で周知する必要があります。改定後は、朝礼や研修の場で変更点を説明する機会もあわせて設けると、周知の実効性が高まります。

本記事は2026-09-18時点の公表情報にもとづいて作成しています。本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言ではありません。個別の事案については社会保険労務士・弁護士等の専門家にご確認ください。


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